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下渡山(村上市237.8m)

(2008/6/29)

東登山口(12:00) > 山頂(12:30) > 下渡登山口(13:00) > 東登山口(13:15)

最初タイトルを「高いところが好き」にしようかと思つたが、田部井淳子さんが同タイトルの本を出してたのでやめにした。

でまあこのタイトルにした。世界の果てではなく近所の里山だけど、「ここまできたぞ」といつてみたいわけです。

で、今回は下渡山である。高校生の時に1度友達と登つたことはあるのだけれど、まあいま1度登つてみようと思つたのだ。

日曜に行かうと思つてたのだが、豫報が雨だつたのでやめようかともいつとき思つたのだけれど、いや雨中を經驗しておくのも惡くないか、それに山男の友人Sが、「スパツツは買つておいたはうがいいぞ」、といつてゐるのだけどいまいち必要性が感じられなかつたので、雨の時ならスパツツの必要性が實感できるかも、まあ下渡山くらゐだつたらそんなこはいこともないだらう、と思ひなほして登ることにした。

實は雨よりこはい目にあふのだが、それはまた後述。

當日は豫報どほり朝から降り出してゐた。起きるのが遲くなつてしまつたうへに妹が家に遊びにきてたのでつい出るのが遲れてしまつた。

村上市街に入ると三面川の向かうに下渡山が見えてくる。さほど高くは無い山で、その背後には葡萄山塊の山々が控へてゐるし、三面川の上流に目をやると鷲ケ巣がそびえてはゐるのだが、村上市街からよく見えるし、臥牛山をのぞけば市街から手輕に登れる山である。

市街をとほつて下渡大橋を渡り、登り口の下渡集落に着いたのは結局晝まへになつてしまつた。さらに、集落内の入り口が見附けられずに集落をとほりすぎてしまひ、村道を走つてゐると携帶電波塔の横に「東登山道入口(姥ケ懐コース)」の道標があつたので、このコースは登つたことないしぢやまあこつちでいいかといふことにして、道端に車をとめて、パツクから雨具を出した。教科書どほり雨具は一番下に入れてあつたのでとりだしてから荷物をつめなほしてゐるうちに結局登山口に足を踏み入れたのは12時くらゐになつてしまつた。

途中アザミやトラノオなんかが咲いてゐるのを見つつ、カツパを上だけ着てゐたのだが、木陰が雨を遮つてくれるしさほど雨も強くなかつたのでカツパは脱いだ。

しばらく登るとTV塔群が見えてきた。村上市街は山陰になつてゐるのでTV電波の中繼地が必要なのである。下渡山はそれにうつてつけなのだ。またこのTV塔群は丁度中腹に位置するのでこのコースの目印にもなる。

さてTV塔群をすぎてしばらく行くと、前方左手の登山道脇の草むらでがさがさ音がしたので見やると、黒い毛のかたまりが谷へころげていつた。「クマ!?」と思つたが逃げていつたので「まあいいか」と思ひ、そのまま登り續けた(今思へば引き返したはうがよかつたかも)。しばらくすると、前方でまた音がしたかと思ふと、今度は目の前十數mの道を走つて横切つていつた! さほど大型ではなかつたがやはりクマだつた。左手から右手へ拔けていつたので同一個體と思はれる。クマを遠ざけるつもりで携帶の着メロを流しながら、さつきクマが驅け拔けていつた坂を登つたら、頂上に出た。

頂上はかなり廣く、開けてゐるのだけど、その一角に紙が落ちてゐて、なにかと思つたらその下に……まあ山頂で用を足すのが氣持ちいいのは分かりますが、せめてもうちよつと隅のはうでするか埋めておいてほしかつた。

豫想どほりとはいへあつさり頂上に着いてしまつたことと、雨が本格的になつてきたこと、ガツカリすることがあつたこと、何よりクマがうろうろしてゐると思ふとあまりゆつくりしてゐる氣にもなれず、早々に頂上をあとにすることにした。

下りるのは集落側コースである。こちらは高校の時往復したコースだ。見覺えのある景色を眺めつつ、こんなに短い道のりだつけ? と思つた。まあ學生の時も山には行つてゐたのだけど谷川岳や安達太良のやうな高山ばかりで、低山は下渡や臥牛山くらゐしか行つてないので、當時とは感覺が違ふのかもしれない。まあ最近朴坂山や高坪山にも登つたので半分くらゐしかない下渡は「短く」感じるかもしれない。

集落登山口に着くと木陰も切れ、雨もいよいよ本降りになつてきたのでカツパを着込んで集落内をとほつて車までもどつた。

で、雨具ですが、ゴアテツクスはたしかにナイロンとは違ふ。あんな蒸れないカツパがあるとは。結局スパツツは必要性を感じなかつたなあ。ぼくは山ではジヤージを着るのだけれど、ズボンが足首をかなり覆ふのでスパツツの役目をある程度果たしてくれるのである。Sにいはせるともつと強い雨の時靴に雨が入らないし、ガレ場で小石が入るのも防いでくれるとのことだつたが、そんな雨の日にはもう登らないと思ふ。

翌日の月曜、市役所にクマの情報を通報しました。

下渡大橋から見た下渡山。きれいな三角形
下渡山寫眞01
東登山口
下渡山寫眞02
トラノオとアザミ
下渡山寫眞03
ブナ林の木陰が雨を遮つてくれたのでカツパは必要なかつた
下渡山寫眞10
TV塔群から鷲ケ巣……は霞んでてよく見えません。このあと大變な目に
下渡山寫眞04
山頂(237.8m)
下渡山寫眞05
山頂から三面川
下渡山寫眞06
村上市街が臥牛山や山居山の山陰になつてゐることがよくわかる。これはTV塔が必要ですね。臥牛山の向かうには朴坂や高坪
下渡山寫眞07
帰りのコースにもクマのフン? Sによると「タヌキぢやない?」とのことだが。
下渡山寫眞08
下渡集落登山口。集落中程の裏手の林道にあつた。
下渡山寫眞09
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