非常に腹が立っていた。若者言葉で言えばムカついていた。
「セカンドマシンは自作になるだろうな」とは、1台目となるNECバリュースターNXRを買った時から考えていた事だったが、NXRを購入して、1年たったところで自作を決意する事になるとは思ってもいなかった。もっと長く使い続ける、と考えていたからだ。
しかし、NXRを買ってから1年も過ぎようとしていた頃、近所の電気屋に入った私は愕然としてしまった。
「500Mhz!?」
2000年夏現在、どうやら市販パソコンのCPUは500Mhz前後が相場となっているらしい。愕然とした後に、私は腹が立った。
「オレのマシンはもう型落ちなのか!?」
私のNXRは、350Mhzだったのだ。1999年春に買ったのだが、その時点でもう遅いマシンだったのだが、1年経って、その遅さは顕著になってしまったのだ。仕方の無い事ではあった。私はパソコンに半端に詳しかったので、余計なソフトはいらなかったし、筐体の小さい拡張性の無いマシンで、何か増設しようと思っても入らなかったりしたら困る。もっとも1年使ってて、増設したのは結局メモリぐらいだったのだが。と言うわけで、安くて、おまけソフトも余りついていない、ワードやIEがあればいい(考えてみればエクセルなんて一般家庭でつかう機会はワードに比べればないと思う。家計簿付けでもしなければ)のだが、そうしたマシンは多少パワーも劣る仕様だった。詳しい友人のアドバイスもあり、NXRを購入したのだが、1年で150も遅れてしまうと、やはりショックだった。
「メーカー製では駄目だ」
私は確信せざるを得なかった。メーカー製は確かに安心できるが、性能に満足できない。Officeeアプリやwebをやるくらいならそれでもいいのだろうが、私はCGもやるので、メーカー製のマシンでは動作の遅さにいら立つ事もしばしばだった。2Dでも、結構パワーは食うのである。
それにたった1年で世代落ちを食らってしまったショックもあった。なにより打ちのめされたのは、私はNXRを10万円台で買ったのだが、新聞広告を見ていたら、地元のソフマップで5万円前後で売られてしまっていたのだ! さすがに10人限定だったかなのだが、自分のマシンが半値で売られているのを見ると衝撃である。
こうして私は、自作を決意した。どうせ作るなら、ちょっとやそっとじゃ追いつかれないマシンを作る、と言う目的である。
さて自作を決めたはいいものの、何の知識も無しで作れるはずがない。まずは勉強である。パソコン雑誌や書籍を立ち読みし(買わんかい)、何が必要なのか、費用はどれぐらい必要か、知識を収集していった。先述した通り、「ちょっとやそっとじゃ追いつかれない」マシン、つまりはハイエンドマシンを組むのであるが、予算は20万程度まで用意できる。性能と価格の兼ね合いとなった。
やはりハイエンドマシンを組むのだから、AthlonかPentiumIIIであろう。K6シリーズは将来性がなさそうである。どう言うわけかセレロンは最初から頭になかった。アスロンとペンIII、果たしてどちらか、と考えるまでもなく、アスロンで決めていた。以前、CGサイトで製作者が「Athlonなら指先ツールに自信が持てます♪」と柔軟剤のCMをパロディして評価していて、「なるほど、アスロンだな」と以前から考えていたのである。
だがその後、CPUに関する書籍を読んでいたら、グラフィック性能はアスロンよりはペンIIIの方に分がある、と書いてあったのだが……まあいいや。
それにintelに対して苦しい戦いを強いられているAMDへの判官びいきもあった。なにより、アスロンの黒いカートリッジが見た目にもかっこ良かったのである。しかし無知とは怖い物で、ペンIIIにもカートリッジ型(SECC)があるのを当初知らなかったのだ。アスロンのごついケースと、ペンIIIの優美なケース、SECCの存在を知ってたら、ペンIIIに心動いていたかもしれない。
とまれ、アスロンをコアにマシンを組む事に決めたのだが、その後AMDに動きがあった。SocketA、ThunderbirdとSpitfire、Duronの発表である。ソケットと言うことは、重厚な殻に包まれているのではなく、セラミックの板っ切れになってしまう、と言うことなので私はちょっとがっかりしてしまった。先にも言ったように、あのアスロンの黒いカートリッジのかっこ良さにも惚れていたからだ。だがCPUに関する書籍を読むと、カートリッジタイプは2次キャッシュがダイの上に載せきれなかった為の応急措置で、シリコンチップのプリント技術が向上すれば2次キャッシュもオンダイとなり、ソケットタイプが復活する、とのことだった。雑誌『ASCII』でも、AMDは現行のスロットタイプからソケットタイプへと移行していく、とあったので、雷鳥マシンを組むことにしたのである。
何度も言うようだが、「ちょっとやそっとじゃ追いつかれない」マシンを作りたかったので、クロック数は出来るだけ大きくしたい。ちょうど1Gアスロンが業界をにぎわせ、市場にも流れ始めていたのだが、10万近かったので予算をオーバーしてしまう。それに1Gともなれば取り扱いも初心者の手に余ってしまうかもしれない。と言うわけで、3万程度だった850に挑戦してみることにした。なに、自作の経験を積んで、もっと早いのが出て安くなれば換装すればいいだけの話だ。(850を注文してしまった後、1.1Gが出て1Gも手が届かない値段ではなくなってしまっていた……)
コンセプトは大体固まった。あとは、部品を揃え、組んでいくだけである。
まずは地元のソフマップに行ってみた。Duronや、850はあったのでそれでも良かったのだが、いかんせんパーツは荷物になる。精密部品だから保護のためのある程度パッケージは大きくしなければならない。
私は車の運転には自信が無いので、電車で来ているのだが、駅から店まで結構あるし、CPU、ケース、マザー、ビデオカード、その他もろもろ揃えるとちょっと人力で運ぶには手が足りない。家族に車で迎えに来てもらう事も考えたが、価格.comでパーツの値段を確認しているうち、いい事に気付いた。
「通販にしよう」
パーツを通販で揃える事にしたのである。初心者で雷鳥850を組もうと言う時点ですでに無謀だが、さらに通販でパーツを揃えるという暴挙に出たのである。破天荒もいいところだ。
さて価格.でcomパーツの価格を比べていると、PC-Successというショップがなかなか安い。評価を調べてみても評判は良さそうだ。やはりパーツごとに別々の店で買うより、まとめて一店買いした方が手間も掛かるまい。この店の通販サイトで買うことにしよう。
ところで妹が、「私もパソコン欲しい」と前から言っていたので、NXRを譲ってやる事にした。と言っても本体はただで、妹にはPC-Successで売り出していた限定格安の13インチ液晶モニタの金だけ出させた。CRTでは場所を取りすぎていやだと言っていたので、7万円程度なのだからまあ安い買い物だろう。
さて買い物である。
CPUはThunderbird850MhzBOX。実は、950にしてみようか、と当初考えていたのであるが、950はまだ市場に出回っている数も少ないらしく、後述するように問い合わせてみたら品切れだった。でも850でも速さは十分だし、しつこいが「ちょっとやそっとじゃ追いつかれない」マシンを組みたかったので、こちらにした。リテール品にしたのは純正クーラーなら大丈夫だろう、と言う変に初心者らしい考慮からである。
マザーはAMDのホームページで確認し、MSIのK7T-Pro。これもAMD自ら動作確認しているのだし、『ASCII DOS/V』でもソケットA一押しに推薦されていた。安心していいだろう。
メモリはノーブランドのDIMM128m133MhzCL=3。容量は128あれば問題ないと『ASCII』に書いてあったし、KT133チップセットはメモリクロックが133なのでこれにした。尤も、CPUをクロックアップさせるつもりは無い(そこまでの知識はまだ無い。いずれやるかもしれないが)ので、100でも多分大丈夫なのだろうが、そう値段が変わるわけでもないから、用心のためである。CLは本当は2がよかったのだが、残念ながら売っていなかった。ソフマップの店頭でも見かけなかったし、まだ市場には出回っていないのだろう。(価格.comでは見つけた)
ビデオカードは3Dゲームをやるわけではないし、3Dレンダリングはやろうとも思っているがこれもそうガシガシ動かすものでもないのだからそんなに高性能である必要はない。グラフィックをやるのだから発色の良さは必要だが、現段階ではどのビデオカードも発色や2D描画性能はそう違わないようだ。モニタを2台扱うつもりもないのでデュアルヘッドである必要もなし。以上の条件から、Matrox Millenium G400 SH16MBを購入。
サウンドカードは、マザーにすでに組み込まれている。音は出りゃいい。
ケースはアスロンを動かすには電源が300wあれば大丈夫だし、さほど周辺機器を増設するつもりも無いので、ベイもそんなに要らない。取り回しのよさを考えると、マイクロタワーよりはミドルタワーだろう。見た目で選び、セリング製ミドルタワー ACM999KB。
CD-ROMはCDRWD-6424G。この分野では大手のI・ODATA製だし、CD-RWの書き込みもでき、DVDも読める。DVDも使ってみたいのと、DVDの普及に期待して購入。
FDDはMITSUMI製D353M3のバルク。いまやFDDはほとんど進化の頂点を極めてしまい、どれも大して性能差は無いようだ。これで十分。それにしても未だにリムーバブルディスクの定番はFDなのである。MOが登場したときにはFDの後継として注目されたのに未だ主役とはなり得てない。スーパーFDやZipにしてもだ。Zipはアメリカでは利用者は多いようだが、FDほど普及してはいないだろう。FDの容量がアプリデータ程度ならまだ十分、と言うのもあるだろう。
HDDはNXRの増設に使用しているUHDI-20Gを流用する。20GBあるし、これもI・ODATA製で信頼性は半年近く使ってきて問題なし。すでにW2Kをインストールしてあり、そのまま組み込んで動かしてみる事にする。動けば御の字だし、動かなくても再インストールしてシステムを再構築するだけだ。ちなみに妹に譲るNXRには6.4GBのMaxtor製HDDが最初から組み込まれているし、これにプリインストールされているWin98を再インストールする。これで多分マイクロソフトも大丈夫だろう……多分ね。
キーボード、マウス、スピーカはソフマップコムストアでセット販売されている廉価品。このアセンブリ3点セットは、自作、スペアパーツとしてなかなかおいしいと思う。
ケースには吸気ファンと、電源のファンのみで排気ファンが無かったので、ノーブランドの排気ファンも別途購入。またマザーには付属のIDEケーブルが1本だけで足りなかったので、後述するように後でもう1本購入した。
種類 | 品名 | 価格(税抜き) |
---|---|---|
CPU | AMD Athlon Thunderbird850MhzBOX | 45390 |
マザー | MicroStar K7T-Pro | 14690 |
メモリ | ノーブランド SD-RAM128MB100/133MhzCL=3 | ○15999 |
ビデオカード | Matrox Millenium G400 SH16MB BOX | 12500 |
HDD | I・ODATA UHDI-20G | 流用 |
CD-ROMドライブ | I・ODATA CDRWD-6424G | 24790 |
FDD | MITSUMI D353M3 | 1980 |
ケース | セリング ミドルタワー ACM999KB | 8500 |
キーボード マウス スピーカ | アセンブリ3点セット3in1 FEA | ○1999 |
ファン ケーブル | ノーブランド | *3098 |
計112947 | ||
(モニタは妹が出資するので除外。○はソフマップコムストア、*はソフマップ店頭。それ以外はPC-Success通販で購入) |
通販は、秋葉価格で安く済んだのか手数料で高くついたのか。まあ手数料はバーチャルアキハバラへの入場料と考えれば高くはあるまい。私の住んでる所から実際秋葉に行ったら、交通費より高く掛かってしまう。
代引きだと、働いているのでいない時に来られても困る。銀行振込を利用する事にした。代金を銀行に振り込むと、数日して最初の荷物が届いた。ケースとマザーである。
実は、注文の際、ばらばらに注文してしまったため、振り込みも数回に分けてやらなければならなくなり、荷物も日にちを置いて届いたのである。通販を利用するときは、なし崩しに注文するのではなく、1度にまとめて注文すべきだったのだ。
なにはともあれ、部品は届いたのだ。揃ってはいないが、中身を確認し、早速組み立てる事にする。
ケースを開け、スペーサーを取り付ける。このケースは橋桁状の部品をはめ込むタイプだった。マザーの穴の位置を確認しつつ、取り付けていく。
スペーサーが取り付け終わったら、マザーの取り付けだ。赤い紙の絶縁ワッシャを挟み、ネジを締める。ケースのスイッチやLEDなどの電源をつなぐ。ここで一応通電試験。主電源を接続し、メインスイッチを入れてみる。マザーの警告ランプが点灯し、ケースの電源ランプも点いている。しかしこれでいいのか、一応組み上げてみないと、よく分からない。ビデオカードさえ取り付けていないのでモニタで確認もできない。完成してからだ。
続いて、CD-ROMドライブとFDD届いた。セオリー通り、5インチ、3.5インチベイにそれぞれ取り付ける。この時、IDEケーブルが1本だけではHDDに届かないので、もう1本購入する必要が出てきた。ソフマップに行って買うことにする。この時排気ファンも一緒に買って、ケースに取り付けた。
次に3点セットとメモリが届く。メモリはマザーに取り付け。3点セットはNXRで動作を確認する。問題なし。ただ、キーボードのEscのばねがバカになっていてキータッチがふにゃふにゃだったが、誤動作も起きなかったのでクレームはつけないことにする。
さて1番遅く届いたのが雷鳥とビデオカードと妹の分のモニタである。実はこの3品、1番早く代金を振り込んだのだ。しかし届いたのは1番遅かった。実は、雷鳥は950Mhzを注文していたのである。だが2週間たっても商品が届かず、メールで問い合わせたところ「品切れで入荷もしばらく掛かる」という返答がきて、850Mhzなら即納できる、と言う返答だったので、それに変更したのである。だがカタログにはすぐに発送できますと書いてあったのだ。品切れなら品切れで構わないが、カタログを更新するなり、遅れるなら返事をくれるなり対応して欲しかった。まあこれもいきなり雷鳥950に挑むのはよして850にしとけ(それでも初心者にしては無謀だが)と言う神の思し召しと考える事にしよう。店側もその後の対応は誠意あるものだったし、注文変更後すぐに発送してくれたので、良しとしよう。
さてCPUとビデオカードが揃ったので、早速取り付ける。雷鳥はリテールで買ったので、説明書とクーラー、『AMD入ってる』(笑)のシールが同梱されている。クーラーは何しろAMDのお墨付きだ。安心していいだろう。ソケットの上にセラミックの板っ切れ、もといCPUを載せる。向きとピンの位置あわせにまごついたが、合うとなるほど、スコンとはまった。レバーを戻し固定した後、クーラーを取り付けるが、CPUの簡単さに比べ、クーラーの取り付けはかなり骨が折れた。力はいるし、器用さもいる。ねじ回しで押し込んでラジオペンチで広げるという危ない橋を渡りどうにかはめ込む。ちなみに取説には何度か練習すればうまく取り付けできるようになりますと書いてあるので、練習した方がよかったかもしれないが、もう取り付けてしまった。続いてビデオカード。『ASCII』にはAGPスロットは差し込むとき2段に感触があると書いてあったが、確かに2回手ごたえがあった。ケースにネジ止めし、セット完了。ところで、K7T-Proには、AGPスロット用に、固定器具が添付されているのだが、カードのヒートシンクに干渉してしまうので、これは使わなかった。
ここで一旦、通電試験を行ってみる事にした。
FDDにのみ電源とコネクタを繋ぎ、コンセントに電源プラグを挿し、電源ユニットのスイッチをオン! おおっ、ファンが廻った! と思ったらすぐに止まった。「ええっ!?」と思って慌てて各コネクタをチェックしてみるがきちんと接続されている。どこも異常はない。
「これが噂の初期不良!?」
ひょっとしたらさっきCPUを取り付けたときにちょっとボードのコンデンサにぶつけてしまったがそれが原因か? 一瞬青くなってしまったが、「ケースのスイッチ」を入れ忘れていたことに気付くまで、そう時間は掛からなかった。
ケースのスイッチを入れると、今度は無事に動き出した。BIOSもちゃんと立ち上がる。CPUもメモリも認識されている。どうやら組み上げに問題はなさそうだ。BIOSの時計が狂っていたので、修正し、電源をOFF。
ではいよいよ、OSのインストール。NXRからW2KがインストールされているHDDを取り外し、組み込む……ビデオカードが邪魔して、3.5インチベイにHDDが入らない。一旦ビデオカードを外して、HDDを取り付ける。ビデオカードを付け直して、CD-ROMドライブとHDDに電源とIDEコネクタを接続する。緊張の瞬間である。スイッチをON! おお、ブートした、W2Kが立ち上がるぞ! と思ったら、途中でブートが止まってしまい、エラーメッセージが表示された。リセットして、何度やってみても同じ。英語なので意味はよく分からなかったが、「ウィルスがどうとの」書いてあるようだ。とにかく、HDDに異常がありますよ、と言うメッセージらしい。まあ覚悟はしていた事態だが、全くブートしないならまだしも、途中まではブートするので、再インストールして今まで使ってきたシステムを消してしまうのは惜しい。修復セットアップを試みる事にする。以前作った起動ディスクをFDDに挿し込み、リセットし、BIOSでFDDからブートできるようにして再起動。だが、FDDが動かない。FDを読み込まないのだ。よく見ると、FDDのランプが点きっぱなしになっている。要するに、まともに動作していないのだ。これは単なるケアレスミスで、後でFDDのコネクタをしっかり差し込んだら正常に直った。このときはとにかく、ブートさせる事が優先だったので、CD-ROMドライブからセットアップする事にした。
CD-ROMがブートし、「修復セットアップ」が起動する。当然、「HDDにあるW2Kを修復」を選択し、修復開始。……あれ? W2KをNXRにインストールしたときと同じ画面が立ち上がってるぞ?? 再インストールしてしまったのだろうか。ユーザ名の入力やプロダクトIDを求められるが、キャンセルはできないし、とにかくウィザードに従って情報を入力していく。入力が終わり、「完了」をクリックすると、CD-ROMからファイルがコピーされていく。それが終わると再起動が求められたので、言われるままにする。
CD-ROMを取り出し再起動すると、今度はHDDからブートが始まる。W2K起動画面が、今度はインジケータがどんどん青くなっていき、最後まで行った。おや、NXRで使っていたときと同じように起動していく。つまり、再インストールではなく無事修復されたようだ。システムを再構築する苦労をしなくていいと知り、ほっと一息つく。OSは何事もなく立ち上がった、と言いたいところだが、画面がおかしい。まるでセーフモードのようだ。画面のプロパティを開くと、16色モードしかない!? そう言えばビデオカードにドライバが添付されていたので、インストールしてみると、無事にフルカラーモードも使えるようになった。前述したようにFDDのコネクタをきちんと差し込むと、デバイスマネージャで「?」がついていたFDDも無事認識された。
だが問題がまだ残っている。音が出ない。ケースのスピーカのビープ音しか出ないのだ。デバイスマネージャでもオーディオプレイヤに異常ありとでる。どういうことかとMSIのホームページを見てみると、チップセットの製造元であるVIAのホームページにオーディオドライバがあったので、20分かけてダウンロードし、インストールすると無事に音も出るようになった。だが、後でマザーの取説を見ると、マザーの添付CD-ROMにちゃんとオーディオドライバが入っていた……20分もかけてダウンロードしたのに。
とにもかくにも、私の初めての自作マシンはとりあえずはまともに動くようになった。ケースのふたを閉め、「AMD入ってる」エンブレムシールと、W2Kについてきたおまけシールを貼り、ついに、完成にこぎつけたのである。
マシンは組みあがった。これで、使い物にならなければ話にならない。まずは、『PhotoShop』を立ち上げてみる。これを使うために雷鳥マシンを組んだようなものだ。だが、起動もそんなに速くなった、と言う気はしない。フィルタなどの処理も心持ち速くなったような気はする。ただ、NXRで使っていたときより、大きな画像を処理できる。以前はあまり大きな画像を扱うと、処理が遅くなって仕方なく小さいサイズで処理していたのだが、これなら大きい絵も描ける。
組み立てる前に仕入れていた情報では、「3Dゲームなどはマシンパワーに比例して処理能力も向上するが、Webブラウザや普通のアプリ程度ではそんなに差は無い」と言うことだったのだが、確かにそのようだ。
ではと思い、ベンチマークソフト『3DMark2000』を使ってみる。以前ソフマップで、このソフトを使ってビデオカードの性能を示すデモを行っていたのだが、PC6001からパソコンに触っている身としては、「パソコンでここまで出来るようになったかー!」と驚いたものである。私のマシンなら、『3DMark』も動くはずだ。インストールして、デモを起動してみる。オブジェクトのギザがかなり目立つが、とりあえずは動いている。だが戦闘ヘリコプターの場面になって、ヘリがミサイルを発射すると、いきなり終わってしまう。雷鳥のマニュアルに、「メモリは128MB以上推奨」と書いてあるので、128しか積んでない私のマシンはメモリ不足なのだろうか。とりあえず、常駐ソフトを終わらせ、もう1度デモを動かしてみる。やはり駄目だ。同じ所でブツッと終わってしまう。マシンにはHD加速ユーティリティ『驚速2000』をインストールしてあるのだが、それを起動させて、動かしてみると今度は問題無く最後まで行った。どうやらHDDにも問題があるらしい。買ってから半年以上は経つので、世代落ちしているのかもしれない。
せっかくDVDドライブを装備しているのだから、DVDを鑑賞してみたくなった。ドライブに添付されている『PowerDVD』をインストールし、『GHOST IN THE SHELL』を見てみる。何の問題も無し。アニメーションがコマ飛びしているような気もするが、音はちゃんと流れているので、ビデオカードの性能のせいか、DVDの画質ではそこまで見えてしまうのか、よく分からない。マザーに添付されていたマシン健康管理ソフトで計ってみたところ、暑い日だった(室温30℃超)せいもあるがCPUの温度が46℃前後になっていたので、そのせいもあるかもしれない。ただ、雷鳥は50℃程度では安定して動くようだし、DVD再生と言う、かなりマシンに負担をかけるであろう動作でもこの程度なのだから、問題無しとしよう。自作なので自画自賛するようだが、そもそもDVDを再生できる時点でハイエンドマシンといっていいかもしれない。
以上が、私の初めての自作体験記である。組み上げてから半月近く経つが、今のところ目立ったトラブルは無い。アセンブリ3点セットのスピーカが、やたらノイズがひどくて、しかも音が右スピーカからしか出ていなかった、と言うのが今のところもっとも大きなトラブルである。このセットは入力デバイスを揃えるには良かったが、やはり安かろう悪かろうだった、と言うところか。今のところNXRに附属していたスピーカに付け替えて音を出している。あと、排気ファンが結構うるさい。高速タイプにしているのだが静音タイプでも良かったかもしれない。
今後、部品の付け替え、デバイスの増設、雷鳥のクロックアップ、色々やってみて、結果は随時報告するつもりである。
ところで、何故タイトルが『初心者のくせに国際救助隊に志願した無謀な男の記録』なのかというと、すぐにピンと来る人もいるかもしれないが、この言いまわしは今回の自作で参考にした『YAHOO!』掲示板での流行語を拝借させていただいた。分かる人はモニタの前でにやついていただきたい。分からない人は「サンダーバード」と言う言葉がCPUの他に使われていないか、ちょっと思い出していただきたい。思い出せれば、納得いただけるはずだ。